株式会社ティー・エス・ケー 総務企画部 統括マネージャー 福井 剛氏
企業の概要 総合ビルメンテナンス
レンタル・リサイクル店舗経営
飲食店経営
従業員数 230名
そのうち障害者 13名
クリーンスタッフ 11名 ( 知的7名 身体3名 精神1名 )
事務スタッフ 2名 ( 身体1名 知的1名)
採用のきっかけ
会社の社会責務を果たすために2005年から「障害者雇用促進チーム」を作り,関係機関と連携しながら実習の受け入れをはじめました。
採用までは,実習→トライアル雇用→正式雇用というシステムを形成しております。
知的障害のある方の事務補助業務の採用は初めてです。以前関係機関との会議の場で,知的障害のある方を事務職として雇用されている他企業の人事担当者のお話を伺う機会があり,創意工夫することで障害のある方にも活躍の場を作ることが可能であると考え,採用にチャレンジしてみました。
仕事を教える上で配慮が必要だったことはありますか?
専任の指導担当者を配置して仕事を教えていきましたが,どこがわからないのかを理解するのには時間を要しました。何度も色々なパターンを作り試しながら,本人が理解できる方法を見つけました。
また、一般の方より仕事の向き、不向きがはっきりしているため、本人に対応可能な業務を切り分けることが重要でした。
習得のスピードは一般の方よりはゆるやかではありますが,着実に進歩は感じ取れるため、徒労感は少なかったように感じます。現在では、自身の担当分野に関しては一般の方を上回るスピードで業務をこなしています。
障害のある方に指導するのに担当者を作りましたか?
実習→入社に当たり、専任の指導担当者を決めました。定期的に本人とヒアリングを行ったり,家庭に状況を報告したりして最善の指導方法を模索しています。
また,同時に周りの社員に対しての障害への理解をすすめたり,指導にあたって工夫の仕方等を伝えています。
採用の際に利用した機関はありますか?
クリーンスタッフの場合、請負先での業務がほとんどのため,ジョブコーチを活用したくても,難しい部分があります。
その分現場にリーダーを作り,わかりやすく指導するようにしています。
活用した制度はありますか? (ジョブコーチ・特開金・トライアル雇用など)
トライアル雇用制度を活用し、本人、会社互いに時間をかけて適性を判断し、納得の上で正規採用に至っています。
結果として正規採用後に「仕事が合わない」等の理由で退職したスタッフはおりません。
採用してから 会議などはしましたか?
生活相談支援員と人事担当者で定期的に会議をしています。一人一人の成長を確認し,仕事の内容などを決定しています。障害のある方でもリーダーの役割をしてくれる人も出てきました。
今後、若い彼らを後継者として育成することも考えています。
支援者に一言
色々な支援機関の方が当社に来られますので,可能であれば一企業、一支援員のような就労支援のチームを作っていただき,そこから全支援機関に発信していただけると有難いなと思います。
企業のニーズを良く理解された担当者が適性に応じて実習生を選出していただけると,企業側はとても助かりますね。
雇用をためらっている企業に一言どうぞ
「0人」を「1人」にするのは非常に勇気がいると思います。まずは「会ってみる」ことから始め、その上で社内において対応可能な業務を切り分けられるかを検討頂ければと思います。
採用=即正社員雇用というイメージが企業側には強いですが,今は色々な雇用形態や支援制度等もありますので,制度を活用しながら短時間の雇用から始められればいかがでしょうか。
その他障害者の雇用で感じるところ
障害のある方に指導する中で,社員が悩みながら共に成長しているのを感じます。初めは指導に時間をとられますので,1人に任せっきりにせずに,担当社員の業務を周りの社員が分担して負担を軽減するなど,部門全体で障害者雇用に取り組む姿勢が大切だと感じます。障害のある方の雇用に関して,社員の温度差は確かにありますが,長い時間をかけて周知活動を続けていくこと,本人の成長を身近に体験することで障害者雇用への理解は必ず進んでいくと信じています。
やはり「思い」は大切です。やる気のある方を指導担当者にすることも大切ですね。
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