ハトヤ瑞鳳閣 管理リーダー 小阪登美子氏

企業の概要  ホテル・旅館施設の経営
従業員数         
89名
そのうち障害者雇用   
1名
(系列のハトヤフーズでは 3名雇用)

採用のきっかけを教えてください
障害者雇用には関心はありましたが,支援学校の実習の受け入れにより,Fさんと出会いました。彼女の働きぶりから,この方なら当社の仕事をお任せできるのではと思い,雇用しました。
実習時には,大学生のジョブコーチ2名が彼女を1年間支援してくださいました。レポートも頻繁にいただき,実習の様子がこちらにもよくわかりました。また,学校の先生・学生ジョブコーチとご両親・本人とで何度かミーティングを重ね,振り返ることで,きちんと仕事ができるようになったのではと思います。
何より,彼女は明るくて,はじめから受け答えがしっかりしていたのが好印象でした。

仕事を教える上で配慮が必要だったことはありますか?
学生ジョブコーチが丁寧に仕事を教えて下さったので,特にこちらからの配慮は必要ありませんでした。

教えるのに担当者を作りましたか?
担当者は決めていません。回りの者が皆でサポートする気持ちで接しています。

採用の際に利用した機関  職業相談室・ナカポツ・ジョブコーチ・
ありません。

活用した制度 ジョブコーチ・特開金・トライアル
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)制度活用

採用してから 会議などはしましたか?
特に困ったこともないのでケース会議はしていませんが,まめにご家族とは連絡をとっています。健康に関しては回りの社員が心配して報告してくれば,ご家族にその旨伝えます。
また,人間関係についてもお伝えしておいた方が良い時は連絡しています。仕事を続けていただくのに,ご家族のバックアップはとても大切ですね。おかげさまで,彼女は家族に支えられて,遅刻もせず出勤できています。

支援者に一言アドバイスをお願いします。
企業がまず求めるのは,仕事のスキルではなく,挨拶です。指示を出した時に,丁寧な言葉づかいで返事をされると,上司も気持ちが良いですし,信頼関係も生まれます。言葉づかいの練習は無駄にはならないと思います。慣れても崩れない丁寧な言葉づかいを心掛けてほしいですね。
あとは仕事に対する積極性を養っていただけたらと思います。彼女は就業時間前に出勤し,自分の仕事以外にも興味をもって見学し,質問してくれます。そういう積極性は,回りから見て評価できますね。

雇用をためらっている企業に一言どうぞ
健康な人にも色々な面がありますよね。障害があるといっても,それはその方の一面だと思います。それぞれの足りない部分を補い合う気持ちがあれば,障害のある方の雇用は進むのではないでしょうか。大切なのは「回りがあたたかい気持ちで迎え入れること」だと思います。ただし,仕事に関しては厳しく,他の方と変わりなく要求していくことも必要であると思います。
「あたたかい気持ちで厳しく」を心掛けています。

総務(人事)より
企業としてできることから取り組んでみました。それは雇用ではなく体験をしてもらうことでした。体験を通して働く上で必要なスキルを理解してもらうことは、体験者の目的意識が明確になり、雇用へ一歩近づくことになると思われます。
体験者を受け入れることは、企業にとっても良い面がありました。作業の改善が進みました、受け入れることで作業方法を見直し、誰でもがわかりやすく改善できたこと、ムダとかムリの改善が進みました。
従業員が社会に貢献していると思いつつあることが、企業の社会的責任にもつながっていると考えております。就労体験は障害のある方だけでなく、従業員や企業にも良い効果があらわれます。

その他障害者の雇用で感じるところはありますか?
皆さんお商売をしておられるわけですから,当然利益を求める訳で,その中での障害のある方への雇用を考えるのは大変ですね。仕事をその方に合わせるのは難しいです。

わが社の場合は旅館業なので,清掃などのバックヤード的な業務が多く,お任せできる仕事があるので,雇用しやすい業種であると思われます。このような業種でなら,雇用は広げていけるのではないかと思います。

パートさんからもこんな声があります。「私にも子供がおります、総合支援学校から体験にこられる生徒さんに少しでも親切に教えるようにしています。それは、社会のどこかで私の子供が困ったときに誰かに親切にしてもらえるんではないかと・・・体験後、雇用につながれば教えた私もうれしく思います。働くことで、社会に必要とされている。貢献していると思ってもらえればさらなる向上があると思います。体験を通して雇用につながればと思い、私も職場でバックアップをしたいと思います。」