京都市障害者職業能力開発等支援事業所 指導員 小坂瑞恵さん

「現在(いま)、これから先の就労支援について」

京都市障害者職業能力開発等支援事業所
指導員 小坂瑞恵

障害者自立支援法の廃止に伴い,現在「障がい者制度改革推進会議」で新しい福祉法が審議されています。差別の無い社会づくりを目指して,障害者の生活・就労等全てにおいて「共生社会」の現実を図っていただきたい。

当事業所は,中軽度の障害者を対象とした就労支援を行っていますが,最近では重度の方の相談や登録が増えてきています。

というのは,事故や病気によって障害者となり,これまで勤めていた職場を解雇されたり,家族とトラブルであったり,一瞬にして環境が変わったことで今後の生活に不安を感じての来所があるのです。

来所される方々は,「すぐに働きたい。何でもいいから、私は何でも出来ます。明日からの生活が困る。」という危機迫る思いで相談にいらっしゃいます。
このような人達には生活相談等も行い,本人のニーズに合う仕事探しに努力しております。

知的障害のある人には,グループ作業の出来る就労先として,病院・社寺の掃除などを模索しています。また,資源を大切にするリサイクル製品などの仕分け作業を企業と連携しています。

精神障害者や重度障害者には,パソコンを使った企業の給与計算などを在宅で就労できるような企画も検討しています。

こうした就労相談以外にも,生活に関わる相談業務や時に結婚相談などの幅広い支援も行っています。

私達は,常に相談者の立場になって,きめ細かなサポートを心がけています。

しかしハローワークと異なり,就職先を斡旋することが出来ません。

まずは,職場実習や職場体験をして頂いたうえで,双方が納得した上での就職ということをご理解頂かなくてはなりません。

また来所されると「私は何でも出来ます。どんな仕事でも出来ます。探してください。」など、よくおっしゃいます。

しかし,話を伺っていくと,「いや、それは出来ません。通院があるから毎日出勤できません。」などという展開になり,先に進まない傾向があります。

また,当事者ご本人に就労意欲があっても,ご家族が「うちの子には無理でしょう。そんな事は出来ません。」などと、せっかくの就労の機会を阻む場合があります。ご家族からみて,本人の障害や家庭での状況などから心配してのご判断だと思います。しかし,チャンスを与えられることによって,当事者本人に秘められた能力が発揮される事も多々あります。

家族は,一生当事者の傍に居ることは出来ません。だからこそ,本人にある秘められた能力を引き出し,自立への道を開拓できるよう一緒になってサポートして頂きたい。これまでより大きな力となり,就労へと繋がっていくと思います。

また私達は,企業面接にも当事者と同行して行きます。企業と当事者を結ぶ役目をこまめに行っています。当事者のお話を良く聞いて,その旨、企業に話し合いに行き,障害者就労を理解いただけるよう努力致しております。

企業側にしてみれば,障害者への理解があっても,その障害者をどのように対応していいのか解らす,本人も表現できなければ,なかなか思うような就職へと繋がらないのが現状です。

当事業所として,多岐にわたる障害者が一緒になって出来る事として「アロマセラピー」の基礎講座を開催し,技術を学んだ受講生と各種イベントへ参加もしています。いつしか就労へと繋げられるよう努めています。

また,様々な障害を一様に理解することは難しいため,「就労支援連続研修会」と題して,お互いの障害の痛みが解るように,当事者による当事者の就労経験をこれからの就労相談や支援に生かす為に知識や事例を収集しています。

第1回は,難聴者の方の話,第2回目は肢体障害者の中軽度の人の体験談,第3回目は肢体障害者で車いす就労をしている方の体験談を聞き,非常に勉強になっております。

今後も研修会等を企画・検討しておりますので,ご相談等を含めてお気軽にお問合せ下さい。